廃棄物処理、生産者に最終責任−−循環型社会法、政府素案に明記

◇リサイクル製品開発促進  廃棄物の発生抑制やリサイクルの推進を目指して政府が検討を進めていた「循環型社会基本法案」(仮称)の素案が21日まとまった。廃棄物対策として、ごみの発生抑制を最優先することを明確にうたい、廃棄物の最終処理責任を製品の生産者に求める「拡大生産者責任」の考え方を初めて盛り込んだ。ごみ処理の有料化などの経済的措置も導入し、循環型社会を実現するとしている。自民党は自由、公明両党と協議し、これを政府案として開会中の通 常国会に提出する方針だ。  

 同基本法は、省庁の縦割り行政の反映で、廃棄物処理法や、容器包装リサイクル法、再生資源利用促進法(リサイクル法)などと個別 に存在している関連法を統括する内容となる。  法案は、循環型社会について、物質の循環を促進することによって環境への負荷を減らし、持続的に発展可能な社会と位 置づけた。これを実現するための施策としては、ごみの発生抑制を最優先の課題とし、次いで製品の再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)を挙げた。  国に、廃棄物の削減目標や国、自治体、事業者、国民の責務を盛り込んだ基本計画を策定し、その実施状況を毎年点検することを義務づけた。基本計画を推進するため、国が必要に応じて、耐久性があってリサイクルが容易な製品の開発を促進したり、廃棄物の最終的な引き取り責任を製品の生産者に負わせることができるとした。  さらに国は、リサイクル品を率先して購入、使用するとともに、ごみ処理の有料化やリサイクルを推進する事業者への融資など経済的な措置を導入するとした。地方自治体にも、地域の自然や社会条件に応じて国に準じた施策の実施を求めている。

 循環型社会づくりをめぐっては、公明党が、対象を自然エネルギーの利用促進や地球環境の保全に広げた法案の素案を既にまとめている。公明党は、法律に実効性を持たせるため、国への勧告権を持った第三者機関の設置なども求めており、今後、調整が進められる。  また、基本法の制定と並行し、厚生、通産両省は廃棄物処理法やリサイクル法を改正し、農水省、建設省も食品や建設廃棄物のリサイクルに関する法案を通 常国会に提出する方針だ。

【鴨志田公男】 [毎日新聞1月21日]